2017年05月30日
高い価格競争力:MENA(中東・北アフリカ)の旅行・観光産業競争力指数(2017年版)(5)
(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0411MenaRank16.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その16)
2017.5.30
前田 高行
2.分野別のランク(続き)
(表http://menarank.maeda1.jp/16-T03.pdf 参照)
(9)Environmental Sustainability(環境保全能力)
この項目のMENAトップはUAEであるが、同国の世界順位は40位であまり高いとは言えない。世界50位以内にあるのはUAEのみである。MENA16か国のうち10カ国は世界100位以下であり、クウェイト(世界135位)、イエメン(同136位)は最下位レベルである。この項目では日本は50位以内であるが米国、中国は100位以下である。
(日本45位、米国115位、中国132位)
(10)Air transport infrastructure (航空路インフラ)
観光客を誘致する航空路が最も整備されている国として高い評価を受けたのはUAEで世界ランクは3位である。同国のドバイ空港は周辺国のみならず中央アジア、東アフリカあるいはアジアと欧米を結ぶハブ空港となっており、MENAでは今や別格の存在である。二番目はトルコ(世界14位)、三番目はカタール(25位)でこれら3カ国に次ぐのがサウジアラビア(38位)、バハレーン(45位)である。本項目で世界100位以下の国はアルジェリア(100位)とイエメン(133位)であり、MENAの多くの国は世界の中位に位置している。MENA平均順位は世界136カ国中の61位である。
(日本18位、米国2位、中国24位)
(11)Ground and Port infrastructure (陸上・港湾インフラ)
陸上および港湾インフラが整備されているのはバハレーン(世界13位)、UAE(同19位)、カタール(同23位)等でありGCC各国が上位に並んでいる。その他中東の主要な国ではトルコが世界54位、サウジアラビア64位、イランは75位であり、エジプトは82位にとどまっている。
(日本10位、米国26位、中国44位)
(12)Tourist Service infrastructure (旅行者サービス度)
MENAで旅行者に対するサービス度が最も高いと評価されているのはイスラエルで同国の世界順位は26位である。これに続き世界50位以内に入っているのはUAE(世界27位)、カタール(同33位)、バハレーン(同35位)、トルコ(同42位)、サウジアラビア(47位)である。一方サービス度が低いとされているのはアルジェリア(世界131位)、イエメン(同127位)、イラン(同116位)である。中東の観光大国であるエジプトは世界93位である。
(日本29位、米国3位、中国92位)
(13) National resources (自然資産)
中東北アフリカは平坦な砂漠の乾燥した国が多く、自然の景観は変化に乏しい。このため平均世界順位は103位にとどまり14のサブ項目の中では最も低い。MENAでは世界50位以内の国はモロッコ(世界47位)だけである。同国に続くのはトルコ(世界70位)、オマーン(同87位)であり、UAE、イスラエル、チュニジア、エジプト、サウジアラビアが90位台にひしめいている。イラン、アルジェリアを含めMENA16か国中の7か国は世界100位以下である。
(日本26位、米国10位、中国5位)
(14) Cultural resources (文化資産)
この項目でMENAトップはトルコ(世界16位)であり、エジプト(同22位)、イラン(同38位)、モロッコ(同41位)、サウジアラビア(同49位)の各国が続いている。その他アルジェリア(同53位)、イスラエル(同57位)など古代から中世、あるいはイスラム教とユダヤ教と言った時代と宗教を背景にした文化資産を誇る国々が並んでいる。
(日本4位、米国13位、中国1位)
(続く)
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