2018年04月25日
世界主要国とMENAのGDP成長率 ・ 一人当たりGDP(IMF 2018年4月版)(1)
(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0439ImfWeoApr2018.pdf
2018.4.25
前田 高行
IMF(国際通貨基金)では毎年4月および10月に世界各国の経済見通し「World Economic Outlook Database (WEO)」を発表しており、今年4月版(以下WEO2018Apr)がインターネット上に公開された。
*URL:
http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2018/01/weodata/index.aspx
この中にはGDP成長率、ドル建て・各国通貨建てのGDP金額、一人当たりGDP、貿易額、財政収支など数多くのデータがあり、特に当年度或いは次年度の経済成長率は官庁、メディア等々で広く引用されている。
ここでは2015年から2019年(予測)までのGDP総額及び一人当たりGDP(いずれもcurrent price, ドル建て)を取り上げ、また成長率については前回の2018年10月版(以下WEO2018Oct)と比較して世界主要国およびMENA諸国の経済状況の変化を検証する。
(世界平均を下回るMENAの成長率!)
1.2018/19年の経済成長率
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)
(1) 世界および主要地域・国の経済成長率
IMFは今年(2018年)の世界の経済成長率を3.9%と見ており、来年(2019年)も今年と同じ3.9%と予測している。地域別に見るとASEAN5か国は今年の5.3%から来年は5.4%とやや上向く見通しであり、逆にEUは今年の2.5%から来年は2.1%に低下する見通しである。国別に見ると先進国は今年より来年の成長率の低い国が多く、日本は1.2%→0.9%、米国は2.9%→2.7%、ドイツは2.5%→2.0%といずれも0.3~0.5%低下し、中国は6%台の高い成長率を維持するものの今年の6.6%に対し来年は6.4%と若干低下する見通しである。これに対してインドは今年の成長率は7.4%であるが、来年はさらに高い7.8%と予測している。
(2)MENA諸国の経済成長率
IMFによればMENA(中東北アフリカ地域)の成長率は今年の3.2%に対し来年は3.6%に上昇すると見込まれているが、両年とも世界平均の成長率を下回っている。国別にみると今年はイエメンのみがマイナス成長率(-0.5%)であるが、それ以外の国はいずれもプラス成長と見込まれている(シリアはデータなし)。
各国の中でリビアの今年の成長率は16.4%と際立って高い。但しIMFの同国の経済成長見通しは毎回大きく上下に振れており、同国のGDPを左右する石油の生産量が内戦状況で大きく低下しており、昨年比で二桁成長が可能か否かは今後の推移を注視しなければならない。
MENAの大国であるトルコ、イランおよびエジプトの今年・来年の成長率はトルコが4.4%→4.0%、イランは3.1%→4.9%、エジプトは5.2%→5.5%である。トルコ及びエジプトの今年の成長率はMENA平均(3.2%)を上回っており、また来年はトルコが減速、イランとエジプトは加速すると見込んでいる。
これに対して歳入のほとんどを石油・天然ガスに依存しているGCC諸国は今年の成長率がクウェイト1.3%、サウジアラビア1.7%といずれも1%台の低い成長にとどまり、UAE2.0%、オマーン2.1%、カタール2.6%、バハレーン3.0%である。GCC6カ国の平均2.1%でありMENA平均(3.2%)より1%以上低い。2019年についてバハレーンを除く5カ国は今年を上回る成長率が見込まれており、6カ国平均でも2.1%→3.0%に改善する見込みである。但しこれでもMENA平均の3.6%よりも低い成長率である。
(続く)
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